採用が変わる?2021年 通年採用で何が変わる?

2021年卒業の学生から通年採用が始まります。経団連の意向によるものですが、今回の新型コロナウィルスの影響によって大手企業の多くは本格的に動きはじめます。

高度経営成長期に労働力の確保として一斉上京就職から始まった新卒一括採用の歴史は終わりを迎えようとしている。通年採用の始まりは、私たちにどのような変化をもたらすのでしょうか?


■企業側のメリット■

・通年採用では、人員の不足や新たに必要となったときに都度採用することができるため、適性人員を維持できます(新卒一括採用では、一時的に(4月に)過剰人員が発生したり、追加人員が必要になった場合に増員することが難しい課題があります)。

・9月卒業の海外留学生や帰国子女、外国籍の優秀な人材を採用しやすくなる

・短期間に多くの採用を決める必要がなくなり、じっくりと人選することができる

■学生側のメリット■

・就職活動の時期が限定されないため、自分のライフプランやキャリアプランに合わせて就職活動ができる

例えば、高校卒業後に一度就職し社会経験を積み、より目標がはっきりした段階で大学に入り、次のステージに進むといったことや、大学卒業後に就職し再び大学に戻り大学院でより専門性を高め次のステージに進むといったことも社会的に常識になるでしょう。

・インターンシップなどにより多くの企業訪問が可能になり、より自分にあった企業にエントリーできる

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■なぜ通年採用に変わるのか■

新卒一括採用は、先に書いたように高度経済成長期から始まったものですが、戦後のモノの豊かさを求め製造業が全盛だった時代は、生産量を上げるために工場ラインを増やしました。工場ラインを増やすためには、まとまった数の労働力を必要とするため、新卒一括採用で労働力を集めることが有効でした。

ところが近年では、日本企業は大手をはじめアジアの労働力の安い国に工場を移し国内工場を閉じるようになっています。またオートメーション化も進み、まとまった人材を必要としなくなっています。

つまり、新卒一括採用そのものを必要としない時代になったということです。

さらに、近年インターネットやSNSの普及により転職が以前に比べて簡単にできるようになっていることや、第二新卒や経験者採用と言った転職市場が伸びていることも理由の一つと言えるでしょう。


■通年採用によって変わること■

□学生の就活事情□

通年採用になると経験者も新卒も関係なく、帰国子女や外国籍の9月卒業生とも同じ市場で就職活動をすることになります。また企業側は、これまでのようにまとまった新入社員研修を行わなくなります。そうなると新卒であっても経験者と同様にビジネスマナーやビジネス実務法務などのビジネスパーソンや社会人としての基礎スキルを就職前に身に付けておく必要が生じます。

さらに、何を経験し何ができるか?何がしたいか?どう生きたいか?が問われるようになり学歴による優位性は薄れます。何となく大学に行くといった安易な進学は、単なる時間の浪費になり、採用担当者から「時間を無駄にしたんだね」と思われ就活が不利になる可能性すらあります。何となく大学に進学したとしても在学中に一つでも多くを経験すると良いでしょう。例えば、留学でも、青年海外協力隊でも、学生インターンでも、アルバイトでも、スポーツでも何でも経験を積む時間にできると良いでしょう。

ちなみに、大手企業に入れば安定する時代は終わりを迎えます。「ついに巨塔が動く」という記事に書きましたが、大手企業もジョブアサイン型にシフトし、成果にコミットすることで給与が支払われるようになり、終身雇用も終わりを迎えるからです。

重要なことは、どこに就職するかではなく、何をしたいか?どう働きたいか?どう生きたいか?が問われる時代になっているということです。

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□日本の企業や社会の変化□

通年採用によって企業側は、都度必要な人材を確保するようになるため、必要スキルを含めた人員の不足を事前に把握し、速やかに採用する仕組みとしてHRテックが不可欠になるでしょう。

採用担当者は職場ニーズとのマッチングや、経営の動向に合わせた採用のスキルに加え、ホームページ、SNSなどオンラインメディアを積極的に利用して求人を行い、インターンシップの活用など企業独自の採用戦略を打てるスキルが求められます。

先にも書いたようにIT化によって転職しやすい環境が整っていることに加え、通年採用になることで 3から5年の短い期間で転職をしてスキルアップする人が増えるでしょう。さらに、「ついに巨塔が動く」という記事に書いたように時間による労務管理から成果オリエンテットなジョブアサイン型や裁量労働が主流になることの相乗効果により年功序列や終身雇用は崩壊の方向に加速します。

一方で、 優秀な人材を長期間雇用しパフォーマンスを上げてもらうために、モチベーションやエンゲージメントを支える感情マネージメントがマネジメント層に求められるようになります。

企業としては、優秀な人材に共感を得て選んでもらうために、ミッション・ビジョン・バリューを明確に掲げることに加え、職場環境、組織、評価も重要になります。

現在は、当たり前となっているリクルートスーツや、合同説明会、新入社員研修といった就活ビジネスは終息して行き、個性をプロデュースし、個々のニーズをマッチングし、通年で研修を提供するように変わるでしょう。

余談ですが、学校の始業時期が4月だとか9月だとかの議論は、企業側の採用事情とは関係が無くなるので「9月開始にすると企業も困る」という理由は、的外れだし時代遅れです。

通年採用に関する参考リンク

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