2月頃から急速にテレワークが増え、緊急事態宣言によって在宅勤務が常識となりました。私たちが提供する企業向けの研修でも特に例年4月は新入社員研修がピークですが当然のことではありますがオンライン化が必須となりました。
そんな中、私たちの経験や同業のお仲間からの情報によってオンライン化に上手く対応できている企業となかなか思うように対応できない企業の差が顕在化してきました。
この差は、情報を整理してみると企業の大小に関係なく次の二つの要因によるものが大きいようです。
・利用者としてのITリテラシーの低さ
・セキュリティ強化か従業員の信頼か
です。
利用者としてのITリテラシーの低さ
自社のITを外部ベンダーに任せっぱなしで、言われるがままにしてきた企業は、利用者としてのITリテラシーさえも低いために、テレワークとは何か、どのような環境が必要か、リスクとメリットは何か、テレワークで可能な仕事は何か、テレワークにおけるコミュニケーションや管理はどうすれば良いかなおど全く分からず、緊急を要する状況において利用者として判断が全くできない状況を招いています。
特に経営層が、「SNSなんて」「画面ごしにコミュニケーションや会議なんて」などと発言していた企業では、経営層が判断や決断ができずに取り残されているケースが多いようです。これから企業が生き残るためには、デジタル時代の到来も加速しているなか、利用者目線で社内のIT環境を先を見通して考える人材や部門が必要だと思います。このケースは、当然の結果として想像の範囲だと思います。
セキュリティ強化か従業員の信頼か
については、特に歴史ある日本の大手企業に見られるケースで、今回のCOVID-19の影響が無ければ顕在化しなかったであろう点です。
どういうことなのでしょうか・・・
日本の大手企業は、これまで顧客情報流出など企業の信頼に関わる情報セキュリティ事故防止のために社内からの情報漏洩に対するシステムのセキュリティ強化を図ってきました。例えば、社外のクラウドシステムの利用制限、SNSの利用制限、PCのWebカメラやUSBを動作不可にするなどです。
セキュリティと利便性は相反しますから、セキュリティを強化すれば利便性は下がり不便になります。
緊急事態宣言などにより在宅勤務を行うことが前提になってことで、例えば、PCのWebカメラが利用できないため、テレビ会議システムを使っても相手の表情を確認することがでず、手書きメモを相手に見せることもできません。会議であれば、音声と資料の共有だけでも情報共有は可能かも知れませんが、1on1などコミュニケーションを目的としたことや、新入社員研修などで、双方向性を必要とするようなコミュニケーションに関する内容やグループワークなどが難しい状況になります。
セキュリティ強化の影響で利便性が損なわれ生産性に影響が及んでいるケースが顕在化しています。
過去の企業情報漏洩では、ある個人の悪意によるものに対しても企業が責任を負うように全従業員に対してセキュリティ強化を施している例が多く、結果として全従業員に対し信頼できなくなった企業側(または経営者)の対応が招いたことのようにも思えます。
企業と従業員との信頼関係があれば、セキュリティを利便性が損なうほど強化する必要もないように思えます。これまでの常識が通用しない状況の今だからこそ、セキュリティ強化か?従業員の信頼か?見直しても良いのではないでしょうか?
0コメント